
『この夏のチャレンジ~ 仲間を信じ、己を信じ、一歩前に出よ!』
校長 津山憲司
この夏休み、部活動や補習そして望星丸研修・マレーシア研修など、それぞれのチャレンジがすでに始まっています。
望星丸研修は先日無事戻ってきました。望星丸での2泊3日の貴重な海上体験がたくさんできたのではないでしょうか。
マレーシア研修では、今週末ホームステイに入ります。マレーシアの家庭での様々な体験を通して、文化や習慣の違いを実感してほしいと思います。何事にも積極的にトライしてください。
さて、ラグビー部が先週末、ビッグな結果を残してくれました。全国高校7人制ラグビー大会で全国6位という結果を収めました。7人制ラグビーはオリンピック競技にもなっており、15人制と同じ大きさのピッチで繰り広げられるスピード感あふれるラグビー競技です。
全国の屈指の強豪校・伝統校と渡り合っての6位という結果は、本当によくやったと思います。この結果を自信に変えて、秋の花園大会の予選にむけて、ぜひ弾みをつけてほしいと思います。
吹奏楽部が、福岡支部コンクールで金賞に輝き、2年連続福岡県コンクールへの出場を決めてくれました。特に『カヴァレリア・ルスティカーナ』という自由曲は、優しいメロディー・早いテンポ、ソロの演奏・合唱、そしてダイナミックな演奏と、音楽素人の私が聞いていても、鳥肌の立つすばらしい演奏でした。県のコンクールでこの演奏ができれば、きっと次のステージ(九州コンクール)へも進出できるのではないかと思っています。普段、周りに音楽を通して笑顔と勇気を贈り続けている吹奏楽部の皆さん、今回はチーム東海福岡全体が皆さんにエールを贈っています。次のカテゴリーへチャレンジ、ぜひ頑張ってください。
8月に入りますと、いよいよインターハイが始まります。1日に女子サッカー部が初戦を迎えます。2日には女子バスケットボール部が、そして、陸上競技の3名・柔道の個人戦、それぞれのチャレンジが始まります。6日からは学園オリンピックで熱い闘いが繰り広げられます。ぜひ、ナンバー1をめざし、日頃の力を充分に発揮してほしいと思います。
今年の夏は猛暑がまだまだ続きそうです。しっかり水分・栄養を補給し身体に気をつけて、部活動に勉強に様々な活動に大いにチャレンジをしてください。
『さあ、仲間を信じ、自分自身を信じて、一歩前に出よ!』
アクティブラーニングで学校が変わる!
校長 津山 憲司
本校では本年度よりアクティブラーニングを全校的・組織的に推進し、生徒が積極的・能動的・協働的に参加できる授業を目指しています。そのために、アクティブラーニングを通して育てたい力を、社会で活躍するための能力資質=‘コンピテンシー’と定義しています。本校ではそれを「七つの学力」として明確化しています。「七つの学力」とは、知識技能獲得力・思考創造力・問題解決力・コミュニケーション力・チャレンジ力・チーム力・異文化理解力の七つです。その「七つの学力」を生徒に身につけさせるための授業展開がアクティブラーニングということです。ですので、授業の冒頭で、この時間は特にどの力をつけてほしいのかという本時の目標を教員は明示し、生徒と共有してから授業を始めることにしています。
また、教員組織の中にアクティブラーニング委員会を設けて、各教科から3名ずつの教員にアクティブラーニング委員になってもらっています。5月にアクティブラーニング委員の中での研究授業週間を行い、6月の2週目には教科ごとの研究授業週間を行いました。そして、本日6時間目に7クラスで、7教科の研究授業を行い、授業者8名(英語2名)以外の全教員が授業見学し、アクティブラーニングを研修する機会を設けました。7教科とは、5教科と保健、そして情報(情報・音楽・家庭科で1グループ)です。8名の教員が、アクティブラーニング研究授業にチャレンジをしました。プロジェクタ―を活用し教材の見える化をしたり、ペアーワークやグループワーク、ディベート形式等で生徒同士話し合わせたり、ミニ実験を試みたり、様々な工夫を用いた授業を展開していました。
私はアクティブラーニングを導入することで、教員が確実に変わってきたと感じています。授業でいかに生徒に考えさせるか、生徒が授業に参加するようにするにはどうすればいいか、などを真剣に悩んで考えています。また、教員同士がアクティブラーニングのことで話し合い、意見を交換し合える雰囲気も確実に多くなってきています。その影響で、生徒たちの授業への取組み関心度が増したとも感じています。アクティブラーニングの狙いは、生徒がいかに積極的に授業に参加し、しっかり考えて自分の意見を持ち、それを表現できるかがポイントです。生徒が変わってくれれば、アクティブラーニングは成功です。
あるアクティブ委員の先生のコメントです。「私は、アクティブラーニングを意識して、自分の指導方法がめちゃめちゃ変わりました。以前は、生徒から『なぜ化学を学ばないとならないの?』と尋ねられたら、『社会に出て必要だからだよ。』としか答えられませんでした。しかし、実際は、社会の中で化学の知識が必要な場面ってあまりないのです。でも、今はそんな質問に対し、『七つの学力のうちこういう力をつけるために、(たとえば)化学反応の勉強は必要なんだよ。』と自信をもって答えることができるようになりました。また、アクティブラーニングを意識するようになって、部活の指導も変わりました。以前は過程も結果も言ってましたが、今は、過程か結果のどちらかを伝え、もう一方は選手自身に考えさせるように心がけてるようになりました。」
今、確実に東海大福岡のアクティブラーニングで、教師が変わり、指導の考え方が変わり、授業が変わり、生徒たちが変わってきています。そして、学校が変わろうとしています。ぜひ、これからの取組みに期待してください。
全国の舞台で掴みとれ!
津山 憲司
一昨日は、サッカー日本代表がワールドカップ初戦にて、コロンビアに歴史的勝利をし、日本中が沸き立ちました。ぜひ、予選リーグを突破して決勝トーナメントに進出してほしいと思います。
サッカー日本代表の勝利の前日、本校女子サッカー部が全国高校総体九州大会において見事優勝し、九州女王となり、高校総体(インターハイ)出場を決めてくれました。新チーム結成以来公式戦負けなしの24連勝ということです。しかし、苦しい試合もたくさん乗り越えてきたと思います。特にインターハイ出場を賭けた準決勝の長崎鎮西高校戦では、延長後半アディショナルタイムでの決勝ゴール。実力も運も掴みとっての大きな勝利だったと思います。インターハイでも、ぜひ日本一という栄冠を掴みとってきてほしいと期待しています。
また、ラグビー部が7人制ラグビー全国高校大会に初出場を決めてくれました。福岡県大会決勝では前年度全国優勝の東福岡高校にあとワントライ差まで詰め寄りましたが、最後は離され準優勝となりました。しかしながら、トンガからの留学生も大活躍をして掴みとった出場権でした。全国大会では少しでも高みに登れるように頑張ってください。
この夏、インターハイに出場する部活動は、女子サッカー部・女子バスケット部・男子陸上部の3年キムンゲ・サイモン君・女子駅伝部の3年菅田雅香さん1年藤岡加梨さん、そして柔道部の3年田中陸君です。そして、7人制ラグビー全国高校大会にラグビー部が出場します。また、全国高校総合文化祭の詩吟剣詩舞部門で3年金子楓さんが出場し、2年の井上紗希さんが全日本空手道選手権大会の出場も決まっています。
皆さん、あと1カ月、しっかり準備して、全国の舞台で大きなチャレンジをしてください。健闘を祈っています。“Team Tokai Fukuokaは皆さんの頑張りを応援しています!”
『インターハイ出場よくやった! そして続け!』
校長 津山憲司
女子バスケットボール部が、2年ぶり3回目のインターハイ出場を決めてくれました。本当によくやりました。たいへん嬉しく思います。地区大会から苦しい試合も多かったと聞いています。何試合もの接戦を制してのインターハイ出場権獲得でした。おめでとうございます。インターハイまであと2ヶ月、その前に九州大会、またたくさんの経験を積んで、もっともっとチーム力を上げてインターハイに臨んでください。
また、女子バスケの部員たちは、毎朝早くから校庭を清掃してくれています。朝8時ごろには、校庭に落ちていた葉っぱもきれいにはばいてくれています。本当に頭が下がります。しかも、やらされている感じが全くしないのです。自分たちの当たり前の仕事のごとく黙々と清掃活動をしてくれます。私はそのあたりに強さの秘訣があるのだと思っています。先日、掃除をしてくれている女子バスケの生徒3名ほどが、しゃがんで道路の何かを手でとっていました。私は近づいて彼女たちが何をしているのか見てみると、なんと地面のひび割れた部分に生えている草をむしってくれていました。なんとそんな細部にまで目配り気配りができている生徒たちか。驚きと感動と感謝でいっぱいになりました。以前に講演してくれた岡田元サッカー日本代表監督の言葉を思い出しました。『勝利の神様は細部に宿る』インターハイでの活躍を期待したいと思います。
柔道部の田中陸君が60キロ級個人戦で優勝し、インターハイ出場を決めてくれました。団体戦では悔しい思いをしましたが、よく雪辱を果たしてくれました。軽量級はなにしろ激戦と聞いていました。その激戦を制して見事な優勝です。これからも精進を重ねてインターハイに臨んでください。一層の活躍を期待しています。
そのほか、女子サッカー部が福岡県大会で優勝をしました。決勝戦では新生の筑陽学園を退けての優勝でした。2枚のインターハイ出場キップを争っての九州大会。インターハイ出場を必ずや決めてくれると思っています。なにしろ女子サッカー部は新チームになって公式戦全勝。とにかく強いです。決して油断や緩みがないようにして、インターハイで真の強さを身につけてほしいと願っています。また、男女陸上の多くの選手たちが、インターハイを懸けた北部九州大会に臨みます。そして、今週ラグビー部も七人制全国大会を懸けた決勝トーナメントに臨みます。ぜひ頑張ってほしいと思います。
最後に、先週の土曜日、男子サッカー部が準決勝で東福岡高校に延長戦の末惜敗をしました。私も観戦してましたが、気迫のこもった好ゲームでした。いや気迫では完全に優っていたと思っています。今は王者の東福岡をもう一歩のところまで追いつめました。感動しました。秋の選手権大会は、絶対に自分たちが勝つと信じて頑張ってください。全国行こうぜ!
『Team Tokai Fukuoka』総力戦で闘おう!
『Kingdom of Tonga 紀行』
〜後編「人生出会いを大切に!」〜
校長 津山 憲司
最終日午前中、留学生との家族と面会を終えたあと、ヌクアロファの港から船で15分ほどの離島に行くことになりました。船といっても 20名くらいで満杯になる小舟です。離島では、軽食やジュースなどがおいてある小さな小屋以外なにもありません。
そこにあるのは、青い海と青い空、そしてきれいなビーチのみです。少しの時間ですが、南の島の素晴らしさを味わうことができました。再びヌクアロファに戻り、バイタさん(U18トンガ代表監督)と打合せ。来年度、U16トンガ代表が日本遠征を計画しており、本校と繋がっている縁から福岡へ遠征に行きたいということでした。バイタさんという方は、U18トンガ代表監督でありますが、実はトンガ政府の高官をされています。今後、トンガと日本の友好に少しでも貢献できればと思い、できる限りの協力を約束してきました。夕食は、バイタさんに地元のトンガ料理の店に連れて行ってもらいました。そこで、初めて子豚の丸焼きをいただきました。本校の3名の留学生から聞いてはいたのですが、見るのも食べるのも初めての経験でした。少しかわいそうな気持ちになりましたが、たいへん美味しくいただきました。何か、普段の食べる豚肉とは違い、命をいただいているという感覚がいたしました。日本でも店に並んでいるパックのお肉でなく、時にはこのような命の姿が見えるような機会も必要ではないかと感じました。「ごちそうさまでした」。
夜にヌクアロファ空港を飛び立ち、夜中にニュージーランドのオークランドに戻ってきました。翌早朝、オークランド市街が一望できる丘に登りました。あいにくの天気で、雨が強く降ったり、ピタッと止んだりと、この季節ニュージーランド特有の天気だそうです。頂上に着くと、今まで見たことのない光景を目にすることになりました。奇跡的に雨が上がり、朝陽が昇ってきました。するとなんと、オークランドの街を包むような虹がくっきりとあらわれました。そしてそのうち虹が二重のラインとなって、オークランドを包んでいます。本当に神々しい光景でした。しかも、虹が海から飛び出しているところもくっきり見えています。昔から、虹の根元には夢が埋まっていると言われています。その光景を目にすることができて、『東海福岡の夢への挑戦』もしっかり捉えられたように感じました。
今回のトンガ王国への旅は、実質3日間の体験でしたが、中身の濃い旅となりました。2つの大きなミッションもうまく進み、それだけではなく今後の出会いや縁に繋がるきっかけも得られたような気がします。旅は出会いの連続です。出会った人との縁をしっかりと繋げられるかどうかは、自分自身のこれからの志(こころざし)次第であると思っています。誰しも出会いのチャンスは平等にあるものです。そのチャンス(運)を縁に繋げられるかどうかで、その人の人生の豊かさに関係してくるのだと思います。古より“人生は旅”と申します。まさしく、“人生は出会い”です。出会った人との関係を大切にして、また何かの縁に繋げていく。これが、人生を豊かにするヒントだと私は思っています。さて、生徒の皆さんも、東海福岡高校で出会った縁を大切にして、これからの人生を豊かなものにして欲しいものです。生徒の皆さんだけではなく、チーム東海に関わっていただいているすべての方々にこのメッセージをお伝えして、今回の紀行文、ペンをおきたいと思います。
どうか、皆さんが自分のそれぞれの夢を掘りだして、この世の中に素晴らしい虹をかけてくれることを願っています。 ・・・おしまい
『Kingdom of Tonga 紀行』
〜本編「ミッションと母親の想い」〜
校長 津山 憲司
トンガ王国の首都ヌクアロファ空港に到着し、無事にトンガ王国に入国できました。トンガ王国の人は「ガリバー旅行記」のモデルになったといわれているほど、とにかく大柄な人が多いです。男性も女性も100キロ超は当たり前、お相撲さんのような人がたくさんいます。人柄はたいへんフレンドリーで、街で歩いていると出会う人出会う人が、笑顔で「Hey!」と挨拶をしてくれます。体も心もおおらかな人たちです。また、トンガの衣装で正装するときは、腰に「Taʻovala」という相撲のまわしのようなものをつけています。政府の役人も空港の職員も学校の先生も生徒も、みんな腰にトラディショナルな「Taʻovala」をつけています。そんなところにオリジナルな文化と風習を感じます。その文化はいつまでも大切に守って欲しいものです。ヌクアロファの街は、高い建物もなく交通量も少なくのんびりとしたところです。目立つ建物は、王宮と王様のお墓、そして教会です。政府機関の建物もせいぜい3階建ての高さで、人の大きさに反比例してこじんまりとした街です。街の中心部には大きなマーケットがあります。サンリブやゆめタウンのようなイメージではなく、昔の商店街・市場のような感じです。野菜を売っているおばさんもたいへんフレンドリーでした。私にとっては、懐かしい心温まるマーケットでした。
さて、今回のミッションの第一の目的であるスカウトが始まりました。15歳と16歳のラグビーの試合を観に行きました。あらかじめトンガU18代表監督であるバイタさんとうい人に、U15・U16トンガ代表選手の中で、日本でやっていけそうな資質と性格と技量の選手を、数名候補にあげてもらっています。東海大学というスケールメリットを使って、バイタさんという大きな味方をつけて、このミッションは成り立っています。現在在籍している3名も同じくバイタさんの一押しの選手たちでした。
試合は、トンガU15・U16大会の準々決勝が行われていました。その中で、トンガハイスクールのヴィリアム君という180センチ94キロのパンチ力のある選手と交渉をすることにしました。試合後、ヴィリアム君とそのお父様に話を聞いてもらいました。いい感触をつかめました。そして翌日には快諾のお返事をもらいました。第一ミッションSuccessです!ヴィリアム君の通っているトンガハイスクールはトンガで一番成績の優秀な学校で、現在本校1年生のシアレも同じ学校です。二人とも実にクレバーな子供です。もちろん現在2年生のフィナもポロも優秀でクレバーですよ(笑)。とにかく、来年日本に来てくれるということで、今回のミッションの一つは大成功です。
トンガの少年ラグビーの試合は、本当に激しいものでした。ラグビーの攻撃の手段として、ボールを持ったらパスをするか、キックをするか、自分走るか(ラン)の三つの選択肢があります。トンガの選手はボールを持ったらとにかくランします。そして、デフェンスの選手にぶつかっていきます。15・16歳の試合でも非常に激しいぶつかり合いです。日本の高校ラグビー(18歳)よりも激しい試合でした。トンガの試合を観て二つの面白いことに気がつきました。一つ目は、タッチフラッグ(タッチジャッジの持っている旗とコーナーポストに立てている旗)が、なんと木の枝でした(写真参照)。まさにローカルなシステムです。もう一つは、応援している母親の熱狂ぶりが日本と同じ、いや日本以上の盛り上がりでした。トライのあとは、踊り出す母親や、グラウンドの中に入っていきそうなくらい熱狂した応援ぶりでした。母親の息子の活躍を喜ぶ気持ちは万国共通ですね。
翌朝、本校の留学生3名の家族がホテルまで私に会いに来てくれました。日本での学校生活・寮生活やラグビーの成長ぶりなどたくさん話をしました。ラグビー部コーチの林英輝先生が作成した3名の映像(試合のプレーダイジェスト、寮生活、家族へのメッセージ)を見て、母親はタオルを出して泣きながらじっと見ていました。私も本当に目頭が熱くなりました。子を想う母親の気持ちはどこの国も関係なく本当に尊いものです。また我々教職員は、そんな家族の想いをしっかりと受けとめて子どもたちを育てないとならないと、改めて心に強く感じたことでした。最後に、2年のフィナ君のお母さんは涙が乾いたあと、フィナの学習成績表を送ってほしいと頼まれました。また成績がよくなければ、母親がトンガからテキストをどっさり送るということでした(笑)。どの国の母親も全く思いは同じです。フィナ君、覚悟をしておきなさいよ(笑)。
なにはともあれ、二つの大きなミッションを無事終えることができました。これも、大学の木村監督と石黒コーディネータおよびバイタさん、そしてすべての関係者の方々のおかげです。本当にありがとうござました。家族との面会を終えたあと、オークランドに戻る夜のフライトまで、船で15分ほどの離島に連れて行ってくれました。たいへん美しい海が見られました。そして、トンガをあとにして、夜中にオークランドに到着し、翌日に日本に戻ることになりました。そのときの紀行は後編でお伝えしたいと思います。つづく・・・
『Kingdom of Tonga 紀行』
〜前編 「旅のミッション」〜
校長 津山 憲司
5月23日から28日までトンガ王国に行ってきました。今回の旅の目的は、来年度の留学生を誘いに行くことと、現在本校に在籍しているトンガ留学生3名のご家族に挨拶と報告をすることです。
私にとって2回目のトンガ訪問となります。そもそもトンガ留学生の受け入れ計画は2年前より始めました。東海大学ラグビー部とのラグビー7年一貫体制でのミッションです。本校で3年間、そして東海大学で4年間、ラグビーや学業そして日本での生活を通して、将来日本社会や国際社会で活躍できる人間に成長させようというミッションです。
現在、2年生に2名、1年生に1名、計3名が在籍しており、来年度も1名の留学生受け入れを予定しています。3ヶ年計画のミッションでして、今回の留学生がこのミッションの一応の区切りになります。
まずは、福岡空港から成田空港に飛び、そのあと成田空港からニュージーランドのオークランドに11時間かけて行きました。オークランドで、東海大学ラグビー部監督の木村先生と東海大学の支援者の石黒さん(コーディネーター)と合流しました。オークランドに6時間ほど滞在し、さらに3時間かけてトンガ王国の首都ヌクアロファに到着しました。福岡空港を出発してから約29時間がたっていました。
トンガ王国は、ニュージーランドの北、赤道の南の太平洋に浮かぶ島々から構成されています。人口は約10万人で、首都のあるヌクアロファの島に一番人口が集中しており、約2万人が住んでいます。これといった国の基幹産業はなく、漁業・農業と観光、そして国際援助に頼っているそうです。首都には大きな建物はなく、政府機関の建物もせいぜい3階建ての市役所のような感じでした。本校周辺の宗像に高いマンションなどを除いた雰囲気で、とにかくのんびりとしたまさしく島国でした。
国民性も穏やかで、ほとんどが敬虔なキリスト教徒で、犯罪も少なくせいぜいパブでの喧嘩程度だそうです。ラグビーでみせるパワフルな激しさは普段は全くみられないフレンドリーな人柄の人が多いです。そういえば、本校に在籍している3名の留学生も、普段は素直でおとなしいまったくいい子です。また目配り・気配りもでき、自ら周りの人を手助けすることも度々あります。それが、いったんラグビーの試合になると、激しいプレーを連発してくれます。一度機会があれば、ぜひ試合を見てやってほしいと思います。
さて、オークランドで約6時間のトランジェットを経て、いよいよトンガ王国の首都ヌクアロファ空港に到着。ようやくトンガ王国へ入国です。トンガ王国での紀行は、次の本編でお伝えします。お楽しみにしてください。つづく・・・
世界へチャレンジ! そしてそれぞれのチャレンジへ!
女子駅伝部の菅田雅香さんが、第3回ユースオリンピックアジア地区予選大会に、3000mの日本代表として出場することが決まりました。誠におめでとうございます。菅田さん自身の努力はもちろんですが、支えてこられましたご家族の力もあっての快挙だと思います。また、駅伝部の部員の仲間たちや指導者、そして今まで彼女に関わってこられたすべての方々にとっても、たいへん喜ばしいことだと思います。心より祝福するとともに、学校全体で応援したいと思っています。そして、ぜひアジア予選を通過して、10月にアルゼンチンのブエノスアイレスで開催されるユースオリンピックへの出場も決めてほしいと願っています。
菅田さんとは朝の登校時に顔をあわせることがよくあります。その際の私の印象は、いつも素敵な笑顔でさわやかな挨拶をしてくれます。また、勉強もたいへん熱心に取り組んでいるそうです。まさしく本校のスクールゴールである「授業、部活動、笑顔と挨拶において、日本一」を実践してくれている生徒だと嬉しく思います。今まで支えてくれた方々や、一緒に苦しい練習を続けてきた仲間に対しての感謝の気持ちを忘れずに、そしてそういった人々の想いを背負って、世界の舞台へチャレンジしてほしいと思います。アジア予選まで1ヶ月、しっかりと準備をして悔いのない自分らしい走りをしてください。
今週よりいろんな部活動の県大会が始まります。それぞれの部活動がインターハイへチャレンジします。自分たちの仲間に世界へチャレンジしている友人がいるということを誇りに思い、また自分自身へのモチベーションにして、それぞれの分野で、そしてそれぞれの立場で、正々堂々と最後まで闘いぬいてほしいと思います。頑張ってください!
Team Tokai Fukuoka 一人ひとりの頑張りに応援しています。
本校の『授業改革』
先週に始業式と入学式を終え、2018年度も本格的にスタートしました。本日の対面式では、生徒1089名と教職員110名の約1200名のチーム東海福岡のメンバーがようやく揃いました。
今日の対面式のあとの全校集会では、前回のブログ『理想とする教育』で述べました教育の原点である「人は何のために学ぶのか?」という命題について全校生徒に話をしました。その命題を簡潔に要約すると、「勉強は他人を幸せにするためにするものです。」「そして、他人を幸せにすることこそが、自分が幸せに生きる唯一の道である」ということです。私は生徒たちに、『他人の幸せのために尽くすことが、自分の幸せと感じられる人』に育ってほしいと願っています。そのことをしっかりと踏まえて、今年度は、アクティブラーニングを柱とした授業改革に力を入れたいと考えています。
今年度、本校では、本校教育の根本的な考え方である「スクールポリシー」と、身につけさせる能力資質である「スクールコンピテンシー」を内外に明確に周知させていきたいと考えています。
まず、本校のスクールポリシーは、人間力を育てることであります。その人間力を三つの力に定義づけました。その三つとは、‘豊かな人間性’と‘逞しい社会実践力’そして‘強い使命感[気概]’であります。すなわち、本校の「スクールポリシー」は、『三つの人間力』を育てることです。
次に、社会で役立つ能力資質である「コンピテンシー」は、『七つの学力』に分類しました。その『七つの学力』とは、知識技能獲得力、思考創造力、問題解決力、コミュニケーション力、チャレンジ力、チーム力、異文化理解力の七つの力です。
また、『七つの学力』を身につけるという明確な授業を展開するために、アクティブラーニングを積極的に導入し授業改革を進めていきます。そのため、授業における『Ⅹの約束』というものを設定しました。「テンの約束」と読みます。これは、教員と生徒がそれぞれ10項目の授業での約束事を設定したものです。先生と生徒がお互いの共通認識のもと、先生と生徒が一緒にいい授業を創りあげていくためのものです。『Ⅹの約束』を徹底し、アクティブラーニングが展開され、『七つの学力』を身につけられる東海福岡オリジナル授業文化の構築が始まります。
今年度より、本校では授業はもちろんクラス活動、行事や部活動などすべての教育活動を通して、『三つの人間力』育て 『七つの学力』を身につけさせたいことを明確にしていきます。そのために、教職員一同ひとつのチームとなって、また教職員と生徒と保護者がひとつのチームとなって取り組んで参る所存です。
情熱と感動のある、魅力ある授業を展開します!
『入学式 校長告辞』
校庭の木々の緑が目に見えて濃くなるとともに、草花も一斉に咲き出し、生きるものすべてに生命の息吹きがみなぎる希望の季節を迎えました。本日、ここに東海大学付属福岡高等学校の第53期生の入学式を挙行できることは、誠に喜びにたえないところでございます。ただいま、入学を許可いたしました、凛と目を輝かせた新入生402名の皆さん、保護者の皆様、ご入学おめでとうございます。皆さんのご入学を私たち教職員一同、心より歓迎いたします。
また、校務ご多用中にもかかわらず、ご臨席いただいております県議会議員の先生方、宗像市副市長・同教育委員会・福津市教育員会、そして中学校の校長先生、地域コミュニティー運営協議会会長様をはじめ、多くのご来賓の皆様に、厚く御礼申し上げます。
さて、本校は東海大学の付属高校として、東海大学の建学の理念のもと、文武両道を通した人間教育に力を入れている学校です。本校では、皆様のお手元の入学式次第の裏表紙に載せております、スクールスローガン・スクールポリシー・そして、スクールゴールを定めております。スクールスローガンとは、本校を簡潔に言葉で表した標語です。本校を一言で表すと、「チーム・トウカイ・フクオカ」、本校では、あらゆる活動をチーム力団体戦で取り組み、仲間と共に成長する、ひとつのチームのような学校をめざしています。スローガンの二つ目は、「ビ・ザ・ナンバーワン」 高い志と大きな夢に挑戦することで、ナンバーワンをめざし、たとえナンバーワンになれなくとも、真のオンリーワンに成長できる教育です。そして、三つ目が「ヒーロー・イズ・ユー」生徒が主人公になる活動を通して、すばらしい大人に育てる教育を展開しています。
次に、スクールポリシーについてお話します。スクールポリシーとは、学校の根本的な考え方・方針であります。本校のスクールポリシーは、東海大学の建学の精神に則り、人間力を育てるということであります。先月の新入生登校日の際にも、詳しくお話をさせていただきましたが、少し触れたいと思います。昨今の日本の社会情勢は、少子高齢化、グローバル化、AIやロボットの社会進出めざましいところであります。セルフレジや自動運転システムなど、もう既に我々の生活に入り込んできています。そんな社会を堂々と生き抜く力、それが人間力であります。本校では人間力を豊かな人間性、逞しい社会実践力、強い使命感の三つに定義づけています。特に、三つ目の強い使命感については、あえて「気概」という言葉で表しています。気概とは、どんな困難にもくじけない心。という意味です。皆さんもこれからの高校生活で、どんな困難にぶちあたっても、くじけない心、気概をもって挑んでください。
スクールスローガンとスクールポリシー、そして、今年度より、本校の学校目標であるスクールゴールというものを打ちたてました。それは、授業 日本一、部活動 日本一、挨拶と笑顔 日本一という三つのゴールです。本校はまず挨拶を徹底しています。きちんと立ち止まって、相手にしっかり体の正面を向けての挨拶を習慣づけています。私は日本一の挨拶であると自負しています。また、笑顔は内面から自然とでるもので、人を幸せにするものです。私は、本校の挨拶に心からにじみ出る笑顔が加われば、日本一の挨拶と笑顔になると思います。本校は部活動も盛んな学校です。昨年は、硬式野球部が選抜甲子園ベスト8に入るなど、また全国高校駅伝大会や女子サッカー全国選手権大会への出場など、めざましい成果を出してくれています。もちろん、全国制覇・日本一を果たす部活動が出てきてくれることは、大変うれしいことであります。
しかしながら、本校の部活動の目的は、人間教育にあります。部活動を通して逞しい大人に育てることこそ、部活動の本当の意義です。そういった意味で、部活動日本一という目標は、部活動を通した人間教育、部活動を通した成長こそが日本一というゴールです。そして、一番上位に掲げているのが授業日本一です。本校では、今年度より授業改革に大きく舵を切ります。アクティブラーニングを柱とした授業改革を行い、生徒にこれからの社会を生き抜く能力と資質を身に付けさせます。本校で3年間学んでこんな力がついたといえる授業を展開します。それが、授業日本一というゴールです。
授業改革を進める上で、まずは教育の原点に立ち還って、「人は何のために学ぶのか」という命題について少し触れたいと思います。生徒の皆さんにとっては、何のために学ぶのか? 保護者の皆さんにとっては、何のために、お子さんに勉強を頑張って欲しいと思っておられるのですか? ということです。高校を卒業するため、いい大学に入学するため、いい仕事に就くため、資格を取得するため、公務員になるため、プロスポーツ選手になるため・・・いろいろな答えがあると思います。次に、何のために大学に入るのか? 何のためにいい就職したいのか? 何のために資格を取得していい仕事に就きたいのか? そして何のためにプロスポーツ選手を目指すのか? という質問をしたいと思います。どうでしょうか? 安定した生活がしたいから。好きな仕事に就きたいから。他人から感謝されたいから。社会から信頼される人生をおくりたいから、そうですよね、誰しも生活に困らないお金があって、やりがいのある仕事に就いて、他人からありがとうと感謝されるような生き方をしたい。すなわち、人は、誰しも幸せになりたいのです。そうなんです。人は幸せをつかむために、学ぶものです。言い換えると、人は幸せをつかむために努力し生きていくものです。ただし、ここで私が皆さんにどうしても伝えたいことがあります。それは、自分が幸せになるには、他人を幸せにすることこそが、唯一の道だという真理です。周りの人に喜んでもらう、誰かの力になる、困っている人を助ける。苦しんでいる人を救う、迷っている人を導く、そういった他人のために何かできること、人のために尽くすことこそが、自分自身の喜びであり、自分自身が幸せになる唯一の道だということです。皆さんが、これから始まる高校生活のなかで、周りの人ために、仲間友人のために、誰かのために尽くしてください。それが、実は皆さんの力となり、皆さん自身の喜びとなり、皆さんの幸せにつながることとなります。どうか、人の幸せのために尽くすことが、自分の幸せと感じられる人に成長してください。
最後に、保護者の皆様、大切なお子様を、私ども東海大福岡高校にお預けいただきましたことに、心から感謝申し上げます。私ども教職員一同は、お子様の将来への夢の実現にむけて、全力で当たる決意でございます。そして、卒業時には、すばらしい大人に成長させ、自分の夢・目標に近づく進路に繋げるため、私たち教職員一同、ひとつのチームとなって取り組んでまいります。本校は新たな改革の真っ最中であります。コース制の改編やカリキュラムの改定、人工芝の敷設やスクールバスの導入、先ほども述べましたが、アクティブラーニングを柱とした授業改革。また、昨年度より、携帯電話についてのルールを、持ち込み禁止から持ち込み認め、就学時間以外での使用を認めるようにしました。これは、実情に合わせ、禁止の指導から、使用のルールモラルの指導に、大きく踏み出した改革です。そういった改革も、教職員と生徒そして保護者の皆様との信頼関係が肝要になると思っています。どうぞよろしくお願いします。また、本校では、挨拶や身だしなみ、そしてマナーなど生活面の指導や、人として社会にでて通用するための指導においては、妥協をしない教育方針で行っております。保護者の皆様には、ぜひご理解をいただき、学校を信頼していただきたいと思っております。より良い教育には保護者の皆様の協力が不可欠であります。学校と保護者の皆様が連携をして、お子様の成長を力強く見守っていただくことを、お願いいたしまして、私の「告辞」といたします。
2018年4月7日
東海大学付属福岡高等学校 校長 津山憲司