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東海大学福岡校長先生のブログ

『Kingdom of Tonga 紀行 〜本編「ミッションと母親の想い」〜

2018/05/31

『Kingdom of Tonga 紀行』  

〜本編「ミッションと母親の想い」〜

校長 津山 憲司

  

トンガ王国の首都ヌクアロファ空港に到着し、無事にトンガ王国に入国できました。トンガ王国の人は「ガリバー旅行記」のモデルになったといわれているほど、とにかく大柄な人が多いです。男性も女性も100キロ超は当たり前、お相撲さんのような人がたくさんいます。人柄はたいへんフレンドリーで、街で歩いていると出会う人出会う人が、笑顔で「Hey!」と挨拶をしてくれます。体も心もおおらかな人たちです。また、トンガの衣装で正装するときは、腰に「Taʻovala」という相撲のまわしのようなものをつけています。政府の役人も空港の職員も学校の先生も生徒も、みんな腰にトラディショナルな「Taʻovala」をつけています。そんなところにオリジナルな文化と風習を感じます。その文化はいつまでも大切に守って欲しいものです。ヌクアロファの街は、高い建物もなく交通量も少なくのんびりとしたところです。目立つ建物は、王宮と王様のお墓、そして教会です。政府機関の建物もせいぜい3階建ての高さで、人の大きさに反比例してこじんまりとした街です。街の中心部には大きなマーケットがあります。サンリブやゆめタウンのようなイメージではなく、昔の商店街・市場のような感じです。野菜を売っているおばさんもたいへんフレンドリーでした。私にとっては、懐かしい心温まるマーケットでした。

  

さて、今回のミッションの第一の目的であるスカウトが始まりました。15歳と16歳のラグビーの試合を観に行きました。あらかじめトンガU18代表監督であるバイタさんとうい人に、U15・U16トンガ代表選手の中で、日本でやっていけそうな資質と性格と技量の選手を、数名候補にあげてもらっています。東海大学というスケールメリットを使って、バイタさんという大きな味方をつけて、このミッションは成り立っています。現在在籍している3名も同じくバイタさんの一押しの選手たちでした。

 

試合は、トンガU15・U16大会の準々決勝が行われていました。その中で、トンガハイスクールのヴィリアム君という180センチ94キロのパンチ力のある選手と交渉をすることにしました。試合後、ヴィリアム君とそのお父様に話を聞いてもらいました。いい感触をつかめました。そして翌日には快諾のお返事をもらいました。第一ミッションSuccessです!ヴィリアム君の通っているトンガハイスクールはトンガで一番成績の優秀な学校で、現在本校1年生のシアレも同じ学校です。二人とも実にクレバーな子供です。もちろん現在2年生のフィナもポロも優秀でクレバーですよ(笑)。とにかく、来年日本に来てくれるということで、今回のミッションの一つは大成功です。

 

  トンガの少年ラグビーの試合は、本当に激しいものでした。ラグビーの攻撃の手段として、ボールを持ったらパスをするか、キックをするか、自分走るか(ラン)の三つの選択肢があります。トンガの選手はボールを持ったらとにかくランします。そして、デフェンスの選手にぶつかっていきます。15・16歳の試合でも非常に激しいぶつかり合いです。日本の高校ラグビー(18歳)よりも激しい試合でした。トンガの試合を観て二つの面白いことに気がつきました。一つ目は、タッチフラッグ(タッチジャッジの持っている旗とコーナーポストに立てている旗)が、なんと木の枝でした(写真参照)。まさにローカルなシステムです。もう一つは、応援している母親の熱狂ぶりが日本と同じ、いや日本以上の盛り上がりでした。トライのあとは、踊り出す母親や、グラウンドの中に入っていきそうなくらい熱狂した応援ぶりでした。母親の息子の活躍を喜ぶ気持ちは万国共通ですね。

 

翌朝、本校の留学生3名の家族がホテルまで私に会いに来てくれました。日本での学校生活・寮生活やラグビーの成長ぶりなどたくさん話をしました。ラグビー部コーチの林英輝先生が作成した3名の映像(試合のプレーダイジェスト、寮生活、家族へのメッセージ)を見て、母親はタオルを出して泣きながらじっと見ていました。私も本当に目頭が熱くなりました。子を想う母親の気持ちはどこの国も関係なく本当に尊いものです。また我々教職員は、そんな家族の想いをしっかりと受けとめて子どもたちを育てないとならないと、改めて心に強く感じたことでした。最後に、2年のフィナ君のお母さんは涙が乾いたあと、フィナの学習成績表を送ってほしいと頼まれました。また成績がよくなければ、母親がトンガからテキストをどっさり送るということでした(笑)。どの国の母親も全く思いは同じです。フィナ君、覚悟をしておきなさいよ(笑)。

 

  なにはともあれ、二つの大きなミッションを無事終えることができました。これも、大学の木村監督と石黒コーディネータおよびバイタさん、そしてすべての関係者の方々のおかげです。本当にありがとうござました。家族との面会を終えたあと、オークランドに戻る夜のフライトまで、船で15分ほどの離島に連れて行ってくれました。たいへん美しい海が見られました。そして、トンガをあとにして、夜中にオークランドに到着し、翌日に日本に戻ることになりました。そのときの紀行は後編でお伝えしたいと思います。つづく・・・

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